2014年12月30日火曜日

田中伸尚氏の講演 「闇の中で光を―戦争国家の中で」への応答 山口陽一師

 特定秘密保護法施行直前緊急集会

 「抵抗の時代を迎えて私たちはどう生きるのか」

田中伸尚氏の講演  「闇の中で光を―戦争国家の中で」への応答

                                                                                                                                                  山口陽一

2014年12月9日 (御茶ノ水クリスチャンセンター8F)

  今宵は特定秘密保護法施行イブです。すべての人を照らす真の光の到来ではなく、すべてを覆い隠す特定秘密保護法の到来です。覆い隠すということは罪の本質です。隠れたところで良いことをやらないでしょう。田中さんの講演で、すでに日本は戦争国家なのだと自覚しました。ファシズムは一夜にして来ると。特定秘密保護法は、米国と軍事行動を共にするためのものですが、警察が前面に出てくる治安法としての危険性がよくわかりました。教えられたことはたくさんありますが、キリスト者、牧師の立場から応答として3つの事を述べさせていただきます。
   第1は「神のかたちとして主の戦いを戦おう」ということです。田中さんは、絶対化する国に立ち向かう「ひとりの人」をずっと取り上げて来られました。中谷康子さんとの出会いが大きなことであったことがわかりました。聖書によれば、人は神のかたちに造られたものです。これに対して国は創造の秩序ではありません。国という秩序は罪の抑制と福祉のために神が許容されたものと考えられます。どちらが大事かは明白です。ローマ13章4節において「上に立つ権威」は、「あなたに益を与えるための神のしもべ」と言われています。ここから言えることは、国のために人があるのではなく、人のために国があるのだということです。私たちの戦いは、数や権力、能力ではなく神による戦いです。「剣を取る者は剣で滅びる」と言われたイエス・キリストは十字架と復活によって勝利を得られました。私たちの戦いもそのようなものです。
 第2は「霊的な戦いを良き力に守られて戦おう」です。日本における政教分離の焦点である政治と神道との癒着は、もはや国家的な偶像礼拝の兆候です。あるいは、武器輸出三原則を外して武器輸出に道を開き、原発の輸出に奔走し、カジノを誘致する等々、マモン(富)に仕えることにおいてもタガがはずれてしまったようです。私たちはこれらのことについて、自らの弱さを知っています。1941年成立の日本基督教団は、教団規則(生活綱領)において「皇国ノ道ニ従ヒテ信仰ニ徹シ」と述べ、教団統理は伊勢神宮に参拝しました。「日本基督教団より大東亜共栄圏にあるキリスト教徒に送る書翰」では、「全世界をまことに指導し救済しうるものは、世界に冠絶せる万邦無比なる我が日本の国体である」と言ってしまったのです。黙示録13章が描くところの獣や竜、それは神格化される国家権力と背後いるサタンであると考えられます。霊的な洞察力を持って見抜きましょう。そして聖霊の力に守られて戦いましょう。
    第3に、私たちの戦いは、特別なことではなく、キリスト教の信仰に徹することです。すべての心・思い・力・知性で主を愛する礼拝者、自分を愛するように隣人を愛する者、聖霊に満たされてイエスの御名で祈る者でありたいものです。「神を愛し人を愛することに徹しよう」ということです。誰の隣人になるかが大切です。聖霊に満たされてイエスの御名で祈りましょう。それが真の抵抗となります。
    闇はいよいよ深まっていますが、「光は闇の中に輝いている。やみはこれに打ち勝たなかった」、「暗やみの中にすわっていた民は偉大な光を見た」のですから。


(当日の応答に補筆したものを山口師よりいただきました。=事務局)