朝日新聞関西版に「バルメン宣言」の取材記事が掲載されました。
2014年4月28日17時40分
注目集める80年前のヒトラー拒否宣言
独の教会採択
ナチスの支配に抗し、ドイツのキリスト教会が80年前に採択した宣言が今、国内で注目を集めている。ヒトラーを神と同列に崇拝することを拒否した「バルメン宣言」。日本で強まる外国人排斥の動きや民族主義に危機感を抱く人々による、反ファシズム運動を再評価する動きだ。
http://digital.asahi.com/articles/ASG4G7782G4GPLZU00H.html?_requesturl=articles%2FASG4G7782G4GPLZU00H.htmlamp
「ナチスが宗教的な権威を利用して統制を強めることに抵抗した宣言でした」
3月30日の夕方、東京都板橋区の徳丸町キリスト教会で、牧師の朝岡勝さん(45)は日曜礼拝に集まった約20人に語りかけた。この数年、日本を「戦争ができる国」にする動きが強まり、近隣諸国との間に険悪さが増していると指摘。「地域の小さな教会からでも、臆せず社会に声を上げるべきです」と訴えた。
バルメン宣言は1934年5月31日、ドイツ西部の街バルメンで採択された。前年1月にナチスが政権を掌握。国家と民族の防衛を口実にした「緊急命令」で当時、すでにドイツ国内で言論の自由などの基本的権利は停止され、教会でもユダヤ人排除や民族主義を強く打ち出す傾向が強まっていた。
朝岡さんは2011年1月に著書「『バルメン宣言』を読む」を出版。今年2月から、礼拝で同宣言を取り上げている。耳を傾けていた練馬区の通訳業、大谷淳久さん(40)は「日本の社会が少しずつきな臭くなっているなかで、歴史に学ぶことの大切さを感じました」と語った。
(続く)
以下は、記事にログインしてお願いします。
■バルメン宣言が否定した6項目(要約)
①教会が神の言葉以外の出来事や力などを承認すること
②キリストを必要としない領域があると信じること
③教会の秩序を、その時々に支配的な政治的確信に任せること
④教会が支配権を有する特別な指導者を持つこと
⑤教会が国家の一機関となること
⑥人間の願望や目的のために教会を奉仕させることが可能だと信じること
◇◇◇◇
〈バルメン宣言〉
ナチスが政権を掌握すると、ユダヤ人の排除や民族主義を強く打ち出した「ドイツ的キリスト者信仰運動」が台頭。危機感を抱いたプロテスタントの教会が「我々はキリストのみに従う」と主張して、政治権力の介入に抵抗し採択した。序言、6項目の条文、結語の3部で構成。ナチスやヒトラーの名指しを避けながらも、条文では聖書を引用しながら、信じるべき内容、排斥すべき誤りを述べている。