2014年12月10日水曜日

「特定秘密保護法施行を前にしての声明」

12月9日に発した声明を紹介します。

「特定秘密保護法施行を前にしての声明」

2014年12月9日
 「特定秘密保護法に反対する牧師の会」
共同代表 朝岡勝 安海和宣
 呼びかけ人一同


 昨年12月6日、特定秘密保護法は稚拙な法案審議と強行スケジュールによって成立しました。それから一年が経ち、明日12月10日に施行されようとしています。この間、多くの国民の不安や反対の声、国の内外からの重大な懸念の声が寄せられていたにもかかわらず、政府は主権者たる国民の声に謙虚に耳を傾けることなく、むしろ法施行に向けての準備を着々と進めて来ました。これらの経過によって私たちの不安や懸念は払拭されるどころか、ますます同法施行後の社会に対する深刻な憂いを抱かざるを得ない状況になっています。ここにあらためて私たち「特定秘密保護法に反対する牧師の会」は同法の施行に反対し、速やかに廃止されることを求めます。
 そもそも同法が国会で審議され始めた当初から、これが今の政権が「積極的平和主義」の名の下に推し進める「戦争ができる国造り」の流れの中にあることが繰り返し指摘されて来ました。事実、今年7月の集団的自衛権行使容認の閣議決定によって、このことは一層明らかになっています。
今回突如として衆議院解散と総選挙となりました。政権与党は経済問題を前面に押し出して、特定秘密保護法や集団的自衛権行使などの重大な論点を選挙の争点から隠そうと躍起になっており、そのどさくさの中で同法は明日の施行を迎えようとしています。
 私たちは今回の選挙が明らかにこの二年間の政権の価値観、国家観を問うものであることを覚えます。そして立憲主義、基本的人権、思想・信条・良心の自由など民主主義社会に不可欠な理念、憲法前文及び第9条に記された平和主義、聖書が示す正義と公義、平和と和解が大切にされ、小さくされた者たちの声が押しつぶされることのない社会のために、これからも声を挙げ続けてまいります。
 かつての戦争の時代、国家によって声を封じられ、自由を奪われた人々があったことを私たちは忘れません。そのような時代に少数ではあっても屈することなく抵抗を続けた人々があったことを私たちは記憶します。そして抵抗の時代を迎えている今、信仰と良心に基づく生き方を主体的に選び取っていくことをここに言い表すものです。