安倍政権は5月14日、多くの国民の憂慮に耳を貸さず、「平和安全法制整備法」案、「国際平和支援法」案、を閣議決定しました。
同日、「特定秘密保護法に反対する牧師の会」(以下・牧師の会、共同代表:朝岡勝、安海和宣)の牧師ら有志7人は、自民党・公明党の政務三役クラスの議員を中心に国会議員会館の控室を直接訪れ、要請行動を行いました。要請項目は、①『秘密保護法』撤廃、②「平和安全法制整備法」、「国際平和支援法」の法整備を行わないでほしい、③憲法9条を守り生かしてほしい、の3項目。合わせて「国会で十分な審議を」と訴えました。
19人の議員を訪問。安倍晋三首相、石破茂国務大臣、谷垣禎一幹事長、山口那津男公明党代表などの部屋では秘書が応対し、要請文と賛同者の声をまとめた資料「ひとこと集」、聖書などを受取り、「要請趣旨は議員にしっかり伝える」と約束しました。
閣議決定当日に与党議員への要請です。門前払いを覚悟していましたが、予想に反して長時間にわたり、参加者の訴えに耳を傾けてもらうことができました。法案提出が国民の理解を得ていないことは議員も感じている様子でした。また、自民党内でも様々な意見があり、全員がもろ手を挙げて集団的自衛権行使に賛成ではないことも感じられました。
参加者は「法案提出より前に、首相がアメリカで勝手に成立を約束してきた。国民はもちろん国会さえないがしろにされていると憂慮を伝えることができた」、「違う意見の相手も、粘り強く働きかけていくことで心を動かしていきたい。大事な行動だと手応えを感じた」と感想を話しています。
共同代表の朝岡勝牧師、安海和宣牧師ら参加者は、要請行動の前に、国会議事堂が見渡せるロビーで立てられた為政者たちを覚えて祈りをささげました。そして、衆議院本会議の傍聴に入った議場でも、また丁度閣議決定の行われている時刻には首相官邸の傍らで、この国と為政者のために祈りました。
与党要請と合わせて、穀田恵二議員(共産党国対委員長)と懇談し、国会情勢のレクチャーをいただきました。
15日に国対委員長会談で日程などを検討します。特別委員会が設置されると審議が連日できること、委員会の規模(50人だと100時間審議、40人だと80時間審議と提案してくるだろう。一人2時間換算)などを教えていただきました。
「自民党も世論では押されていると思っているだろう。国民に内容を広く知ってもらいましょう。ご一緒に力を合わせ、憲法を守り、『戦争立法』を廃案に追い込みましょう。日本の未来・平和のためにがんばりましょう」とエールを交換しました。なお、前回届けた当会のブックレットと聖書を照らし合わせて読んでくださっていました。
訪問した議員と主な対応は以下の通り。
●安倍晋三首相(自民)
受付で「資料投函のみで面談はしない」と断られました。資料を「お届けしました。ぜひ渡して読んでもらってください」と念を押しました。「渡すかどうかは秘書が決める」そうです。
●高村正彦副総裁(自民)
「議員は、閣議決定以降、国民への説明責任を果たしていかなければならないと言い続けてきた。あくまで法案なんです。ですから納得してもらえるようにします」。
「国民は願っていない。国民の声を聞いてほしい。どうしてそんなに急いでいるのか。審議を尽くしてほしい。今国会で決めないでほしい」。
「国際情勢の変化が急がせている。中国の軍備増強や北朝鮮もある。もちろん平和外交の努力は続けていくが、きちんとメッセージを発信する必要がある」。
「民間レベルでは国民 同士は敵意など存在しない。その力を活用すれば平和を保てるはずだ」。「共産党独裁だから国民の意見など反映されない。だから手を打って、サインを出していく必要がある。高村は日中連盟の会長もしており、中国が嫌いだといっているのではない」。
「アジアの友人がヘイトスピーチで傷ついている。人と人との関係を大事にしてほしい。」と資料を託しました。聖書を渡すと、「あー、どこのホテルにも置いてあるやつですね」と。
●谷垣禎一議員(自民・幹事長)
3月20日の訪問のお礼を述べて再度要請。「議員には必ず伝えます」。
●石破茂議員(自民・地方創生担当大臣)
先日の国会祈祷晩餐会で石破氏が話されていた内容を紹介し、「同じキリスト者としてやっぱり平和が重要だとお考えだと思う。ぜひお会いして直接話を聞いてほしい」と訴えました。「アポをとってくれれば面会できますよ」。
●中谷元議員(自民・防衛大臣)
時間がないことを告げられたため、三つの要請項目のみを読みあげ、「いま一度の再考を」と依頼しました。
●佐藤勉議員(自民・国対委員長)
「国対委員長なので忙しい」ということのため、要請書と資料を手渡しました。
●稲田朋美議員(自民・政調会長)
政務調査会会長という立場として、幅広い視点から様々な状況を考慮して調整しなければならな
い難しさを語られました。要請項目のみ読み上げ、確かに議員にお伝え頂くようにお願いしました。
●細田博之議員(自民・幹事長代行)
資料を受け取ってくれただけでした。
●北村誠吾議員(自民・安保委員会理事長)
政策秘書が応対。基地問題を抱え、被爆地でもある長崎選出の議員として、同時にカトリック信者として安保関連法案に責任を持って関わることの葛藤を話して下さいました。アポイントを取り直して、議員と話す機会を調整してくださるとのこと。また執務室に案内されマリア像やローマ教皇と撮影した写真を見せて頂きました。
●小野寺五典議員(自民・安保委員会理事)
あまり時間がないことを告げられたため要望書を手渡しました。
●山口那津男議員(公明・党首)
「議員は外出中です」。要望書を読み上げることを断られたため要望書を手渡しました。 議員の考えを聞くと「マスコミの方でいろいろ出ると思いますからそちらを見てください」とのことでした。
●井上義久議員(公明・幹事長)
「ご心配はよくわかりますが、与党ですから」と、要請を聞いてもらうことができませんでした。
●石井啓一議員(公明・政調会長)
「資料は渡します」。
●大口善徳議員(国対委員長)
「資料は渡します」。
●佐藤茂樹議員(公明・安保委員会理事)
「これから審議をしっかりやろうと言っているんです」。
●村上誠一郎議員(自民) *自民党総務会でただ一人反対。
部屋に入れてもらい、要請文を読み上げました。飾ってあった「至誠通天」の額に、「聖書にも誠と、恵みについて教えがあり通じるものです」「先生の気骨ある姿に励まされています」と激励。
*13日の「自民にもハトがいた」(毎日新聞)との記事に掲載された2議員を訪問。
●武井俊輔議員(自民)
自民党内から安倍政権の暴走を止める働きを期待することを伝え、要請文を読む。
●石崎徹議員(自民)
本会議に出かける直前に少しだけ議員本人と面談。前日の記事を見てきたことを伝え、「自民党の中でも頑張ってほしい」と激励しました。
(写真提供 クリスチャン新聞)