衆議院議長 大島理森殿
衆議院安全保障特別委員会委員長 浜田 靖一殿
安全保障関連法案の衆院特別委員会における強行採決に抗議する
2015年7月15日
特定秘密保護法に反対する牧師の会
共同代表 朝岡勝 安海和宣
本日、衆議院安保法制特別委員会(浜田靖一委員長)において、与党は国民の圧倒的な反対や憂慮の声、各界からの意見に耳を貸すことなく、安全保障関連法案の強行採決に踏み切りました。このような暴挙に対し断固として抗議します。
去る7月10日に私たちは、自民党、公明党所属の衆議院議員あてに、「安全保障関連法案の強行採決をしないでください」との文書を送付し、申し入れました。実際に委員会審議は時間だけは経過しても、その内実は深まるところなく、野党議員からの質問に対して正面から答えることもなく、憲法学者をはじめ多くの世論が指摘する憲法違反との声にも向き合うことなく、今日の日を迎えました。むしろ審議が進むほど、本法案の内実が「戦争法案」であり、自衛官を危険な戦場に赴かせ、しかしその責任を政府が負うことのない無責任なものであり、米国と一体化して世界中どこでも戦争に荷担するものであることが明らかとなりました。
このような法案に基づいて自衛官を戦場に赴かせることがあってはならず、また紛争地において平和作りのために汗を流している民間のたくさんの働き人たちを危険にさらすことがあってはなりません。誰も殺し、殺されることがあってはならないのです。
また、本日の委員会終盤に起こった怒号の中での審議打ち切り、討論、採決の光景は、日本の議会制民主主義の劣化と荒廃ぶりを見せつけるものであり、これから時代を担う若い人々や子どもたちに、この姿をどう説明すればよいのかと途方に暮れる思いです。
国会議員の皆さんには、今一度、自らの良心の声に耳を澄ましていただきたい。国会議員を志した初心を思い起こしていただきたい。国民の負託に応える責任と義務を自覚していただきたい。
憲法第98条は「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と定めています。本法案は明確な現行憲法の違反であり、私たちはこの効力を認めません。
また憲法第99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とあり、この義務に背く者を国民の代表として認めることはできません。
剣で平和を作ることができないことを身に染みて学んだ私たちは、平和を希求する願いの中で現行憲法のもと、戦後70年を生きてきました。この平和を今回のような暴挙によって失うことは決して許されるものではありません。ここに私たちは、同法案を参議院に回付することなく、速やかに同法案を取り下げ、廃案とすることを強く求めます。