2016年4月22日金曜日

世界の傾きの中に立つ  中外日報連載「随想随筆」

当会共同代表の朝岡勝牧師の随想が、宗教専門紙「中外日報」の4回連載で掲載されました。(2016/3/11~4/1)
ぜひお読みください。











2016年3月29日火曜日

声明「私たちは安保関連法の施行に抗議し、すみやかな撤廃を求めます」を発表いたしました。

特定秘密保護法に反対する牧師の会は2016年3月29日、以下の声明を発表し、首相官邸へ送りました。


内閣総理大臣 安倍晋三殿

     私たちは安保関連法の施行に抗議し、すみやかな撤廃を求めます

2016329
特定秘密法に反対する牧師の会
共同代表 朝岡勝、安海和宣



 安倍内閣は322日、安全保障関連法の施行を329日とする政令を閣議決定しました。このことにより、本日329日に集団的自衛権の行使が可能となり、日本政府が戦後一貫して守ってきた専守防衛の歯止めが撤廃されることとなりました。
特定秘密保護法に反対する牧師の会は、昨年919日の同法案強行に対しても、日本国憲法の原則を覆した違憲立法に深い痛みと哀しみを覚えて抗議してきました。沢山の市民の抗議をものともせず、軍事立国への道を実際に歩むべく同法を施行したことに断固反対し、抗議するものです。日本を攻撃してもいない他国に対し、同盟国と連帯して攻撃することもできる「自衛権」ならぬ「攻撃権」の行使が可能になります。自衛隊が日本の周辺海域を越えた全地球規模で(まさに地球の裏側でも)米軍及びその他の他国軍に対する兵たん活動、駆けつけ警護等における任務遂行のための武器使用にまで拡大。まさに「後方支援」という名目の実質軍事協力を行うことができるようになりました。
  「剣をとる者はみな剣で滅びます」(マタイの福音書2652節)という聖書の言葉の通り、かつての日本も欧米列強の植民地主義支配の中で、列強国の仲間入りをするべく、富国強兵・領土拡大の路線を突き進みました。「自衛」といって領土拡張、植民地支配を進めた結果として、アジア諸国に甚大な被害を与え、日本全土は壊滅的な焼野原にいたりました。この苦渋の経験を通して学んだ結実である日本国憲法92項を、わずか71年で違憲立法によって実質的に捨て去ることは、歴史の教訓を顧みない危険な行為であると同時に、「剣をとる者はみな剣で滅びます」という聖書の警告を無視するものです。
私たちは、かつて侵略戦争に迎合・沈黙し、戦争に協力した日本の教会の歴史を受け継ぐものとして、再び同じ過ちを繰り返すことができません。聖書の言葉に生き、それを語る者として、過去の過ちから学び、現在と未来に対して聖書の警告を受け止め、平和を創る道に歩むことを教会の内外に対して語り伝えることこそが牧師の使命と受け止めています。それがゆえに安保関連法施行が日本を再び壊滅的な危機に追いやる危険な行為であることを政府に対しても真摯に訴えます。
私たちは、一切の軍備を認めず国家交戦権を放棄した日本国憲法9条こそが、「自衛」の名によるさまざまな侵略的武力攻撃が横行している今日において、最もその真価が問われるべき平和を創りだす現実的な道であることを堅く信じます。

私たちはそれゆえに安保関連法の撤廃と、日本国憲法9条に則った政治に戻ることを切に求め、請願をいたします。


2016年2月10日水曜日

【Peace Making Wave*Action】「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」って何?

「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」って何?
2016/2/11 信教の自由を守る日に
特定秘密保護法に反対する牧師の会 よびかけ人 星出卓也
最近あちこちで「戦争法の廃止を求める2000万人統一署名」をよびかける姿を目にすることが多くなったと思います。「2000万人ってすごいね」「何でこの署名を集めているの?」「署名って本当に力になるの?」など。そもそも「総がかり行動」って何?と思っている方も多いでしょう。




憲法違反の戦争法(安全保障関連法)は昨年919日、大多数の世論を踏みにじり、国会内の多数の横暴で「成立」させられました。戦争法は、政府のこれまでの憲法解釈を180度転換した閣議決定(2014/7/1)にもとづくもので、平和主義、立憲主義、民主主義を破壊するものです。昨年来、安保法反対の声は、日本中に燎原の火のように広がりました。いまも、「戦争法は廃止せよ」の声は国内外にあり、法案成立後も廃止を願って今も多くの人が行動し続けています。
今国会に、野党5党共同で、廃止法案を来週にも提出する準備を進めているそうです。「野党は共闘」を、との多くの人の声と熱意が動かしたのではないでしょうか。
総がかり行動実行委員会や多くの人が2000万人署名を大切に取り組んでいる理由は、いくつかありますが、なんといっても次の参院選が非常に重要だということです。
2000万人は、びっくりの数字ですが、みんなで努力する価値はあると思います。日本国民有権者の約2割にあたる数です。前回の自民党の比例票1700万を上回る数です。けれども、ひとり一人が未来を考え、声を上げていかなければ社会は変わりません。そのきっかけを、署名を通してつくり、一緒に考えていこうという壮大な、でも夢のある取り組みです。
署名を取り組んでいる「総がかり実行委員会」は、安倍政権の猛烈な、戦争できる国づくり攻勢・「憲法破壊」という緊急の事態に際し、これまでいろいろな経過で別々に運動していた個人・団体が、運動の経過や考え方の違いはいったん脇に置いて、ともに運動を進めようと作った会です。「九条の会」事務局長で東大大学院教授の小森陽一さんは、総がかり実行委員会をつくる3つの団体が一致してともに歩んでいることを、「ここに至るまでの苦しみの歴史を知る人にとっては、驚きというか、感動というか、奇跡を見るような感激するべきこと」と感動を持って話しています。
 「戦争法廃止に向けて野党は共闘を!」の声に対し、野党の共闘は思うように進んでいないように見えます。一方政権党は、間近にせまる参議院選で「憲法改定の発議が出来る3分の2を取る」と勢いづいています。衆参解散同時選挙も噂され、まさに憲法9条は崖っぷちの状況です。政界地図は目まぐるしく動き、それぞれの政党のお家事情もあり、野党共闘など夢のまた夢のように見えます。しかし、どうでしょう。2000万署名は、多くの良識ある人々が、共に手を取り合って、共通の危機に向かっているシンボルであり、さきがけです。秘密保護法制定に反対する運動→集団的自衛権行使反対の運動→昨年来の安保法制反対の爆発的な流れ、といった、今までになかった新しいことが始まっていることを感じます。ちなみに、「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(通称「市民連合」)が12月に作られました。安保関連法の廃止と立憲主義の回復、そして個人の尊厳を擁護する政治の実現を目指す市民のプラットフォームとなる団体ですが、この核となっているのも「2000万署名」です。
この署名を2000万人がすることは、安保法制廃止はもちろん、憲法9条を守ることにつながり、安保法制廃止の志を同じくする野党の共闘を促し、足元の定まらない野党への大きな圧力になります。
SEALDsの国会前コールに「民主主義ってナンだ!これだ!立憲主義ってナンだ!これだ!」というフレーズがありました。憲法9条が崖っぷちの「今」だからこそ、そこから生まれる市民の底力に希望を持ちたいと思うのです。私たちの信教の自由が脅かされる事態がすでに来ているとき、平和を作り出す使者として、この国に植えられたものとして、不可能を可能にする神様に従い、一歩踏み出していけたらと思います。その一歩が「2000万人署名」というカタチであれば、ぜひご一緒に踏み出していきましょう。 



署名用紙はこちらからダウンロードできます。
http://sogakari.com/wp-content/uploads/2015/10/署名面_5名Bスミ.pdf



2016年2月5日金曜日

「いま知るべき宗教・政治」特集として、「安倍政権と『日本会議』」 AERA2016/1/25号から

AERA2016年1月25日号は、「いま知るべき宗教・政治」特集として、「安倍政権と『日本会議』」についての記事を掲載しました。ジャーナリスト・青木理氏によるものです。

 安倍政権の閣僚の過半数が関与するといわれる政治団体「日本会議」。その源流は、戦前生まれの進行宗教団体であり、現在は神道系の中心とする宗教団体とのかかわりが深いとされています。このルポの掲載のためかどうか定かではありませんが、該当の号はあっという間に完売し、バックナンバーも取り寄せできず、Amazonでは4倍の値段がついています。 ルポの内容は大変興味のあるもので、ぜひ多くの方に読んでいただきたいと思いました。当会で把握している関連資料と合わせて紹介します。

*こちらの表はAERA記事のものではありません。

-以下引用

 昨年10月7日の発足した現内閣―ー第3次安倍改造内閣の全閣僚20人のうち、半数を超える12人がそろって関与している”政治運動団体”がある。
 日本会議。憲法改正などが最大目標だと訴える右派団体であり、その主張に共鳴する国会議員で構成される日本会議国会議員懇談会は、正確な数字こそ明らかにしていないもの、衆参両院を合わせて約280人が加入しているとされる。
 中でも安倍政権と同会議の親和性は極度に高く、一昨年9月に発足した第2次改造内閣の際は、全閣僚19人のうち首相の安倍晋三を筆頭とする実に15人が同懇話会メンバーで絞められたことが波紋を広げた。
 なのに、というべきなのか、こうした事実を日本の大手紙やテレビはほとんど報じようとせず、むしろ外国メデイアが安倍政権の背後で蠢く日本会議の存在に強い懸念を示すリポートを発信している。
 たとえばーー。 「日本で最大のナショナリストグループ」(米ニューヨーク・タイムズ紙)。 「愛国教育を推進し、”自虐史観”を終わらせるためにつくられた団体」(英ガーデイアン紙)。 「日本の最も強力なロビー団体で、露骨な歴史修正主義」(英エコノミスト誌)。 「日本の政治を作りなおしている極右のロビー団体」(豪ABCテレビ)。        
*元会長は最高裁長官*  
こうした見方が的をえたものなのかどうかはともかく、日本会議が安倍政権を支える右派・保守層の代表的存在なのは間違いないだろう。また、その実像をつぶさに追跡していくと、組織を支える保守系宗教団体の姿が浮かび上がってくる。

 *

 日本会議が発足したのは1997年にさかのぼる。元号法制化などを訴えて運動を推進してきた「日本を守る国民会議」と、各種の保守系宗教団体などで構成された「日本を守る会」などの右派団体が糾合される形で誕生した。
 これまでにワコール会長だった故塚本幸一や元最高裁長官の三好達らが歴代の会長を務め、現在の会長は杏林大学名誉教授の田久保忠衛。副会長や代表委員といった役職には神社本庁の総長、靖国神社や明治神宮の宮司ら神道系の宗教人のほか、元警察庁長官の城内康光、元東京都知事の石原慎太郎、埼玉大学名誉教授の長谷川三千子といった保守系の錚々たる面々が名を連ねている。
 同会議のホームページや機関誌「日本の息吹」などを眺めると、団体としての目標は多岐にわたるが、簡潔に記せば以下のようなものに集約されるだろう。 ①天皇と皇室崇敬、②憲法の改正、③いわゆる”自虐史観”などの歴史修正、④愛国教育の推進、⑤国防体制の整備、⑥選択的夫婦別姓など「家族を解体」させる制度導入への反対・・・・。

*会員数は3万8千人*

 日本会議の広報担当者によると、現在の会員数は3万8千人。全国47都道府県すべてに地方本部を置き、市区町村などの地方支部は現時点で総計243。前述したように中央政界では約280人の国会議員のほか、地方議員も全国で約1700人が同会議に集まっているという。その影響力がいかほどのものかはともかく、そこに集う人士や組織規模を見る限り、「日本最大の右派政治団体」という評価もあながち過大なものではない。
 同会議の発足にもちょくせつかかわり、かつては自民党右派のドンに数えられていた元自民党参院議員会長・村上正邦が当時を振り返ってくれた。 「日本会議は、ある人物が(発足にあたっての)実務的な中心になったんですよ。私のところにも相談にきたから、いろいろとアドバイスをしました。安倍がいいとか麻生がいいとか、どういう政治家を日本会議に入れるべきだとか言ってね」。 村上が言う「ある人物」とは、日本会議の事務総長として組織の実質的な責任者となっている椛島有三である。
 続けて村上の話。「彼はなかなのヤツですよ。(日本会議に参加する)地方議員が増えているのも、彼あたりが熱心にオルグして培ったものでしょう。現在の私は日本会議のありように懐疑的ですが、そういう意味では大したもんですよ。なかなかね」
  *
 45年、佐賀県生まれの椛島は、全共闘運動華やかなりしころの60年代後半、在学していた長崎大学で右派の立場からこれに対抗する「学園正常化運動」に取り組む活動家だった。特に長崎大では、一部の学生自治会を椛島らの右派学生が掌握して耳目を集めた。
 その椛島の精神的、思想的バックボーンとなったのが宗教団体「生長の家」である。  戦前に生長の家を立ち上げた初代総裁・谷口雅春は戦後、現憲法を占領軍の押しつけだとして「明治憲法復元論」を訴え、靖国神社の国家護持などを提唱、「生長の家政治連合(生政連)」を立ち上げて政界にも進出した。65年に参院議員に当選し、故・中川一郎らと「青嵐会」結成に参加した故玉置和郎はその筆頭格であり、前出の村上も当初は生政連に支えられ、自民党右派の代表買うとして政界に名をとどろかせた。
 その学生部隊として「生長の家学生会全国総連合(生学連)」があり、椛島もその一員だった。この当時、生学連メンバーとして右派の学生運動に取り組み、生長の家の出身者として安倍政権や日本会議に影響力を持つ人物はいまも数多い。
   
 ●生長の家●  
公称信者数168万人。本部は山梨県北杜市。生長の家の教義は谷口雅春の著作特に生命の実相・甘露の法雨を基礎とする。神道や仏教、キリスト教、天理教、大本等諸宗教はその根本においては一致するという「万教帰一」という思想を主張・布教している。(この注釈はAERAのものではありません。)  

*還流は「生長の家」*

 ごく一例をあげれば、現在は首相補佐官となっている自民党参議院議員の衛藤晟一は、大分大学で生学連の運動に参加していた。安倍の政策指南役とされる日本政策研究センター代表の伊藤哲夫は新潟大学で生学連運動に参加し、日本会議では政策委員などもつとめているという。
 このほか、日本会議で「新憲法研究」にあたるメンバーに名を連ねる日本大学教授(憲法学)の百地章も生長の家の出身だ。余談になるが、安保法制をめぐって昨年、大半の憲法学者が「違憲」と断ずるなか、安倍政権が「合憲とする憲法学者もいる」と主張して挙げたのが百地らだったが、関係者によれば百地以外にも生長の家の出身者がいるという。

  *  

やはり生学連の出身で、民族派団体「一水会」の顧問などを歴任してきた作家の鈴木邦夫はこう明かしてくれた。 「生長の家は、2代目(総裁)の(谷口)清超先生のときに政治活動をやめたんです。日本も平和になったし、州境として本来の姿に戻るべきであり、もはや政治の世界には関与すべきではないと。ただ、それまでずっと蓄えてきた(政治的な)エネルギーがありましたからね。椛島君たちの存在もそうです。そういう人たちが運動をする場として、闘う場として、日本会議をつくったんです」  ーーということは、日本会議の源流は生長の家、生政連と考えていいんでしょうか。 「僕はそう思います。生長の家だと」 鈴木はまた、椛島らのこともこんなふうに振り返った。 「いまの日本会議で活動しているような生長の家(出身)の人たちは、みんな真面目なんです。親が生長の家に入っていて、その勧めで学生の頃から生長の家の錬成場に通うようになった人が多い。普通、親から宗教団体の集まりに行けなんて言われたら反発するでしょう。でも、それを素直に聞いて入るんだから、みんな素直で真面目で親孝行。だから自民党の先生方なんかにも好かれる」

 *組織力持つ右派活動家*

ーーそこがほかの右派学生たちとはすこし違ったと。 「ええ。長崎大で活動した椛島君たちが典型ですが、普通の右派学生のようにただ『反対』と言っているだけではなく、実際に学生たちを戸別訪問してオルグしたり、立て看板を出して人を集めたり、そういう力を持っている。それまでの右派というのは、組織運動の発想がなかった。左派の学生運動と闘う中でそういうノウハウを身に着けていった面もありますね。とくにそういうノウハウを持っているのが生長の家の人たちなんです」
 もうひとり、長崎大で活動していた椛島らを知る人物も、こんなふうに振り返った。 「右派の先生方や活動可児は事務能力なんてないけれど、彼らには事務能力も組織運動のノウハウもある。椛島君はカリスマ性のある活動家ではなかったけれど、非常に真面目で熱心に組織運動に取り組むタイプだった。そこが強みだったし、日本会議では生かされているじゃないでしょうか」   

 強調しておかなかればならないが、鈴木も指摘するように現在の成長の家は、組織として日本会議との関係を有しているわけではない。むしろ初代総裁・谷口雅春の死後、生長の家は政治との関係を遮断し、現在は政治的影響力をほとんど行使していない。
 ただ、椛島らを筆頭とする、生長の家やその政治団体である生政連、そして生学連の出身者らが、日本会議の中枢を組織運営面や思想・政策立案面で支えているのは間違いない。 前述したが、安倍政権の中枢や周辺にいる生長の家出身者は他に幾人も上げることができる。  他方、あらゆる組織や政治運動に共通する話だが、活動を資金や人的動員力の面で支える必要もある。この点で大きな力を発揮しているとみられるのが、神社本庁や神道政治連盟といった神道系の宗教団体である。

 *神道団体が資金源*

 厳密に言えば、任意の政治団体に過ぎない日本会議は、その資金的な収支状況などを公にしておらず、資金面の実態はベールに包まれている。日本会議側に取材を申し入れても、詳細を明らかにしてはくれなかった。
 そんななか、前出の村上が「宗教と右派の政治運動」に関する興味深い話をしてくれた。 日本会議とは直接関係ないが、90年に天皇即位を祝う大々的な提灯パレードが開かれた際のエピソードである。  同年11月、当時の経済人や文化人らでつくる奉祝委員会や国会議員らの奉祝国会議員連盟が共催して開かれたパレードは、東京・上野と新橋から皇居をメ指して約5万人もの人々が提灯や日の丸を手に行列するという大規模なものだったが、この準備に奔走したのが村上だった。
 村上が振り返る。 「私が中心となって準備にかかわったんですが、資金面でも警備の面でもいろいろ苦労しましてね。それを資金面で支えてくれたのが明治神宮だったんです」 ーーあれだけの規模ですから、かなりの額の資金が必要だったでしょう。 「ええ。億単位にはなったんじゃないですか。それを明治神宮が愚痴ひとつ言わず、快く協力してくれましてね。私たちとしては、この奉祝行列の成功をバネにして元号法制化の運動に入り、それがのちの日本会議へとつながっていったわけです」
 これも断っておかねばならないが、現在の日本会議の活動を神社本庁や明治神宮などが資金面でどれほど支えているかは定かでない。しかし、神社本庁を筆頭とする神道系の宗教団体が、現政権や日本会議などの右派・保守運動を広く、そして分厚く支えているのもまた疑いない事実である。

 *「美しい日本」に再結集*

 冒頭に記したように、日本会議国会議員懇談会に属するとみられる現内閣の閣僚は20人中12人だが、神社本庁などが中心となって作った神道政治連盟国会議員懇談会になるとその数はさらに跳ね上がる。
 保守運動を研究している「子どもと教科書全国ネット21」の事務局長・俵義文のまとめなどによると、その数は安倍首相を筆頭に計18人。全閣僚の実に9割にのぼる計算となる。その神道政治連盟も、ホームページなどで「日本に誇りと自信を取り戻す」と訴え、目的として「皇室と日本の文化伝統を大切にする社会づくり」「誇りの持てる新憲法の制定」「靖国の英霊に対する国会儀礼の確率」--などを掲げ、日本会議とは密接不可分な関係を有している。 
このほか日本会議の役員委は多数の宗教団体トップらが名を連ねている。           

●日本会議の役員を代表者などが務める宗教団体(日本会議のHPより)●
 神社本庁、伊勢神宮、熱田神宮、靖国神社、明治神宮、岩津天満宮、黒住今日、大和教団、天台宗、延暦寺、念法眞教、佛所護念会教団、霊友会、国柱会、新生佛教教団、キリストの幕屋、宗教真光、解脱会

 本誌編集部が各団体にアンケート方式で取材を申し入れたところ、大半の団体からは「回答は控える」と拒否されたが、一部の団体から日本会議への参加について次のような回答が寄せられた。 「我が国の伝統文化を継承する立場から協力している」(靖国神社) 「皇室仰慕の諸活動や英霊の慰霊顕彰など、教団の考え方に合う取り組みについて、その趣旨に賛同する会員に協力をよびかけている」(佛所護念教団) 「(日本会議の)関連団体の『美しい日本の憲法をつくる国民の会』代表委員に就任。今後、滑動を行うこととなった」(国柱会)  それにしても、日本会議という運動体に安倍政権の支える保守人同士が総結集し、神道系を筆頭とするさまざまな保守系宗教団体がそれを支えている構図をどう理解すればいいのか。
 上智大学神学部教授(宗教学)の島薗進は、こんなふうに分析しているという。 「冷戦体制が崩壊し、保守系の宗教団体はそれまでの『反共』という結節点、一種のよりどころを失いましたが、ここにきて『美しい日本をつくる」という目標で再編成されたということでしょう。それが、日本会議の形成につながっている」 前出の鈴木もこう言う。 「そもそも生長の家がなぜ政治に進出したかといえば、最大の理由は共産主義への危機感だったんです。このままでは宗教を否定する共産革命が起きかねない、それを何としても阻止しなくてはいけないという危機感。と同時に、創価学会に対する恐怖心もあった。創価学会が公明党をつくって勢いを増していくことへの恐怖。だから生長の家が政治連合をつくり、神社本庁も政治連盟をつくったんです」

*反対から提案の運動へ*

 それから時は移ろい、「共産革命」も「共産国の脅威」もほぼ消え去った。そんな時代、「美しい国」を掲げてこの国に現れたのが「保守のホープ」としての安倍政権だった。  日本会議の事務総長・椛島は、自身が会長を務める右派団体・日本協議会の機関誌「祖国と青年」の2007年7月号で、安倍政権の誕生と同会議の運藤のあり方について次のように記している。 〈安倍政権発足後の変化として私が一番感じておりますのは、日本会議が「阻止の運動」「反対の運動」をする段階から、価値・方向性を提案する段階へと変化してきたということです〉 〈どうでしょう、この1年間(第一次安倍政権発足後の1年間)、教育基本法改正の運動、憲法開星の国民投票法成立の運動と日本の根幹をなす大事な問題に建設的エネルギーを注ぐことができました〉 〈安倍政権になり国家の基本問題に関するマイナス事項が抑止されいる時代になったということを、政権がもたらした大きな作用として認識しなければならないと思います〉 「反対・阻止の運動」から「価値・方向性を提案する建設的段階」に移り変わったと椛島が礼賛した第一次安倍政権はわずか1年で消え去ったが、復活した政権は強硬姿勢で椛島らの望む「価値・方向性」へと突き進んでいる。翻ってそれを「反対・阻止」する運動は、残念ながらあまりに弱い。  (文中敬称略)
                                 -引用終了

2015年12月14日月曜日

クリスチャン新聞 戦後70年座談会/安保法制に抗うクリスチャン 

クリスチャン新聞2015/12/20.27付に掲載された戦後70年座談会に、当会の安海和宣共同代表が出席し、活動が紹介されました。

 今年の9月19日、参院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決成立した安全保障関連法制(以下・安保法制)。これにより、自衛隊も他国の戦争に参加できるようになり、日本は戦争のできる国へと変わった。しかし、この安保法制に抗うためアクションを起こしたクリスチャンたちも多数いた。
 今回は憲法研究者の稲正樹、牧師の安海和宣、都立高校教師の岡田明、板橋区議会議員の五十嵐やす子の4氏に集ってもらい、アクションを起こした動機と、今後、安保法制下の状況でどう抵抗し、運動を展開して行くのかなどについて語ってもらった



秘密保護法完全施行の日 牧師の会がスタディ・セッション 現憲法は一字一句変わっていない

*クリスチャン新聞12/20.27号に、12月1日のスタデイ・セッションの記事が掲載されました。



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 特定秘密保護法成立から2年。同法は12月1日、完全施行された。折しも同日、特定秘密保護法に反対する牧師の会(共同代表/朝岡勝、安海和宣)は、憲法研究者で国際基督教大学客員教授の稲正樹氏を講師に、スタディセッション「Peace Making Study Session 地の塩・世の光として歩むために学ぶ」を、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターで開催。稲氏は「私たちの国はいま、どこへ行こうとしているのか─私たちが踏み出せる一歩は何か」と題して講演した。【中田 朗】

 稲氏は最初に、日本キリスト者平和の会が、安全保障関連法制(安保法制)成立に対し9月20日に発表した「戦争法の強行採決抗議・実効阻止・廃止を求める声明」を紹介。「戦争法(安保法制)」反対は私たちにとっては信仰のたたかいであり、憲法98条は「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」と規定している、だから憲法違反の「戦争法」の実効を阻止し廃止するため、引き続きたたかうことを表明するという内容で、「憲法では憲法違反の法律があってはいけないとしている。憲法の最高法規、その国の基本法が踏みにじられてしまったと考えている」と話す。

 その上で、第一次安倍政権で何が行われたかを挙げ、また自民党憲法改正草案の問題点として、 ①立憲主義を軽視する改憲草案、②「天皇を戴く国家」と国民主権の形骸化(戦前回帰的)、③「戦争をする軍事大国」をめざす9条改憲、④基本的人権の形骸化(「公共の福祉」が「公益及び公の秩序」に)、⑤緊急事態条項、⑥憲法改正条項の改悪、を挙げた。
 特に④に関しては「国よりも個人が大切であることは現憲法の魂のようなもの。ところが憲法改正草案13条では『個人』を『人』に改めた。『個人』だと個人主義を助長するからだという。『公益及び公の秩序』は人権制限を容認するもので、義務が伴い、表現の自由にも関わってくる」と危惧する。

 特定秘密保護法に関しては、制定に反対する刑事法研究者の声明をもとに「この法案は、基本的に軍事立法であり、それ自体において日本国憲法の平和主義に反するもの」と指摘。「表現の自由を保障している現憲法の下で、このような法律が成立するとは思わなかった。戦争する上で、国民には意図的に十分な情報を与えない。これは国民主権、立憲主義に対して重要な意味をもつ。つまり、国民を見えない、聞こえない、しゃべれない、日光東照宮に描かれるサルのようにし、秘密をベールで閉ざす法律だ」と警鐘を鳴らした。
 しかし、特定秘密保護法、安保法制の成立といった厳しい状況の中でも、上智大学の高見勝利氏の論文をもとに、「日本国憲法のテキストは一字一句も変わっていない。平和的生存権、戦争・武力による威嚇・武力の行使の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認を定めている日本国憲法に、憲法変遷などは生じていない」と強調。
 「違憲」法律を塩漬けにするべく、①創意工夫にあふれた市民運動の開始や違憲の特定秘密保護法の廃案を求める運動を続ける、②非立憲の政権の速やかな退陣を求める運動を粘り強く進めて行く、③統治行為論の発動を許さず、全国の裁判所において、安保法制の憲法9条違反、平和的生存権、憲法尊重擁護義務違反の差止請求訴訟、違憲確認訴訟、損害賠償請求訴訟を提訴する、などの方策を挙げ、「日本国憲法の基本理念に立脚した『平和国家』『福祉国家』『道義国家』の実現には、新たな政治勢力の結集が必要だ」と説いた。また、主権者である国民の誰もができることとして、国政選挙の際、不誠実な処理を行った衆参の前・元議員(立候補者)を「選定」しないことで、実質「罷免」するという請願や投票も挙げた。
 最後に、自由と平和を確保する展望として、軍事大国化と新自由主義改革に対抗するために、日本国憲法に基づく国家と社会の構想(新しい平和と福祉国家の道)を提起する必要があるとし、「社会的多数派の結集により政治を包囲しよう。貧しく、小さく、砕かれた者が思想・信条・世界観・属性を超えて結びつき、主権者・市民として立ち上がり、国民の過半数に憲法の精神を広げよう」と語りかけた。




http://クリスチャン新聞.com/csdb/%e7%a7%98%e5%af%86%e4%bf%9d%e8%ad%b7%e6%b3%95%e5%ae%8c%e5%85%a8%e6%96%bd%e8%a1%8c%e3%81%ae%e6%97%a5-%e7%89%a7%e5%b8%ab%e3%81%ae%e4%bc%9a%e3%81%8c%e3%82%b9%e3%82%bf%e3%83%87%e3%82%a3%e3%83%bb%e3%82%bb/

2015年12月12日土曜日

【Event Report】 主への服従から生じる「抵抗権」 PMPM@NAGOYA2

    【Event Report】 PMPM@NAGOYA2

     12月11日に名古屋市の日本同盟基督教団名古屋福音伝道教会を会場に開かれたPMPM@NAGOYA2(同実行委員会主催)。「平和をつくる者は幸いです。どうか主に従っていくものとさせて下さい」ーー会堂をほぼ満席に埋めた参加者がともに学び、主を賛美し、祈りを合わせる幸いなときとなりました。

     集会の様子と、講演の概要をレポートいたします。







      集会は、山本陽一郎牧師(実行委員・日本同盟基督教団多治見中央キリスト教会牧師)の司会で、賛美と祈りから始まりました。2人の姉妹が自らの信仰で社会と向き合ってきた歩みと証しについてスピーチ。「この時のため ~日本にあるキリストの教会の責任~」と題して山口陽一師(東京基督教大学教授・日本キリスト教史・当会よびかけ人)が講演しました。
       今年のこの国と歩みが、「戦後70年」という歴史の中でどのようなところに置かれているのか、また戦前のキリスト教会の反省を振り返りました。そして、ローマ人への手紙第13章から「抵抗権」-政治参与の責任について説きあかし、キリスト者・キリスト教会が間違った政治のもとでどのように祈り、行動すべきかについて深めるものでした。
       会堂が満席となるほどの参加者が駆けつけ、ともに祈り、賛美し、平和をつくる人とさせてくださいと誓いを新たにする時となりました。

      <講演より>  (参加者のまとめで、講演そのものの文字起こしではありません

      「この時のため ~日本にあるキリストの教会の責任~」

       山口陽一師(東京基督教大学教授・日本キリスト教史・当会よびかけ人)



        









       まず、エステル記4章14節から、私たちが主から遣わされているこの時、この国が、いったいどのようになっているのかを考えました。
       その出発は、「戦後70年」。敗戦の歴史と、おおきな犠牲の上にうちたて、70年間守ってきた日本国憲法の国民主権、基本的人権、平和主義が、新自由主義と国家主義によって機能不全におちいり、人のための国から国のための人とされ、戦争で殺し殺され、日の丸君が代、神社参拝が国家儀礼とされ、信仰の自由が脅かされようという時代に入りつつあるのが「この時」です。


       
       つぎに、戦前のキリスト教会の歴史から、反省と教訓について学びました。対米開戦直前の1941年、日本のプロテスタント教会は、「日本基督教団」に合同。その教団規則には、「聖書に従って」と言わなければならないところが、「皇国の道に従って」とされていました。そして、大東亜戦争を「聖戦」と呼び、戦争の遂行のために神の召命を受けて教団がつくられたとの理解のもとに、戦争に協力していった歴史を持っています。
       「時のしるしをみわけられるままに、ただ国民大衆とともにおしながされるだけであったということは、日本の教会および個々のクリスチャンの責任を問われるべきことでしょう」(小塩力)という言葉が胸にささります。
       そのような反省から私たちはいま、何を学ぶべきなのか。ローマ人への手紙第13章と、「抵抗権」からの学びです。多くの先人が深い考察をおこない説きあかしています。
       渡辺信夫牧師(当会賛同者)の「抵抗権について」(1982年)は、カルヴァンの「抵抗権」について学び、「抵抗の根を持つこと、また根を養うこと」「抵抗権は深遠なことではなく、ありふれたこと、日常のことである」と紹介しています。
       権力は神によってたてられたものです。そのゆえに、従い、服従するべきです。しかし、権力は手違いを犯し、間違うこともあります。権力が神にそむくとき、私たちは信仰のゆえに、神への服従のゆえに、隣人への愛のゆえに、権力に抵抗することが必要です。
       聖書には信仰のゆえに権力に抗った例がたくさん記されています。へブル人の男児を殺せとのパロの命令にしたがわなかった助産婦。偶像礼拝を拒否したダニエルたち。イゼベルの命令にそむいて主の預言者をかくまったオバデヤ。「人に従うより、神に従うべきです」とみことばを語ることをやめなかった使徒たち。その後継者たち。 
       抵抗は良心の自由、告白の自由が侵害される時になされ、「それは権力に己の質的反省をうながす」と渡辺信夫師は言います。人民主権の社会では、「人民は正しい政治を自ら行う責任がある。政府があやまちを犯すならば人員自身がそれを改めなければならない。すなわち、人民が権力を一時あずけたものからとりもどすなり、抵抗するなりしなければならない」のです。
       外的には政治的自由であり、内的自由を守り育てるために、信仰者には教会がそなええられているのです。
       いまの日本社会を振り返る時、この「抵抗権」の思想は、個人や教会にとって大切だというだけではなく、国にとっても不可欠なのではないでしょうか。
       抵抗権を嫌う「愛国心」教育が行われています。
       安保法制については、憲法違反の法律だと歴代の内閣法制局長官が指摘し、圧倒的多数の憲法学者や弁護士、元最高裁長官、学者、学生、NGO、医療福祉関係者、母親たちが反対しています。それにもかかわらず、為政者が憲法99条の「憲法尊重・擁護義務」を怠り、強行採決したのです。12月1日には特定秘密保護法が完全施行されました。この法律はチェックする第三者機関を持っていません。12月当初に予定されていた国連の「報道の自由」調査が直前にキャンセルされています。国が危険な方向に行こうとしているとき、その暴走に誰が「否」というのでしょうか。
       抵抗権の問題は、信仰者として自分たちの権利をまもることでもありますが、主に従う者としての国にたいする責任でもあります。
       キリスト者は「王である祭司」という身分をあわれみのゆえにキリストにあっていただいています。
       「あなたがたは、選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神の所有とされた民です」
      (第一ペテロ2章9節)
       「すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい」(第一テモテ2章1節)
       安定した統治のためのとりなしの祈りが必要です。またこの祈りは「神はすべての人が救われて、真理を知るようになるのを望んでおられます」(4節)と、救いをめざす福音宣教でもあります。
       最後に預言者しての責任を考えます。日本の教会がもっともできなかったこと、苦しんできたことです。
       王の前に立って神のことばを語った預言者たちは、「わたしのことばを聞くものは、わたしのことばを忠実にかたらなければならない」(エレミヤ23章28節)とのことばのとおり、人を恐れず、神のことばを伝えました。
       「個人についての利欲と虚偽は悪思想であるとすれば、国家的利欲および国家的虚偽はまた極めて悪思想なりと言わねばならない。しかも利欲の正義仮想は悪の極致である」。(「悲哀の人」矢内原忠雄 内村鑑三第3周年記念講演会より・1933年3月)

       おわりに、
       主への服従から生じる「抵抗権」が、今のこの国にとって如何に大切なことかを、それができずに国と共に滅ぶばかりであった教会の歴史に学びつつ確かめた。戦後70年、悔い改めの実としての日本国憲法が壊されつつある。「抵抗権」は私たちの信仰の自由と市民的自由をまもるためのものばかりでなく、この国を守るため、主への服従として、訴えととりなしの祈りの中で行使されなければならない。と結びました。

       
       日本の教会の「抵抗」の当たり前のたたかいを、いよいよ当たり前のものとするために、祈りつつ歩んでいきたいと思いました。